2012年5月11日(金) 『家庭用御霊舎』
大きな間口にお祀りされるので規格の御霊舎では小さく今回別注で製作させていただいています。遠い昔、宮忠のお仕事をある形でお手伝いしていただいていた方が今回のお客様です。
御霊舎が入用になった時すぐに宮忠を思い出しお声を掛けてくださったそうで、ありがたい事と思わせていただきました。福井県に納入があった帰りにお電話をいただき、そのまま名古屋で下りて採寸をさせて頂いたような流れもありまして、何か感慨深い今回の製作になっています。
材料は木曽桧を使います。間口が広いので材料も長いものが必要になってきます。これだけ大きい御霊舎になると運ぶのも大変ですので上下が分かれるセパレート型で製作します。セパレート型といっても初めは一本の木で上下を造り後に切り離して中の加工に入りますので、柱は共木といって同じ木から出来ます。(写真1)
当初の打合せでは造り付の御霊舎の案も出たのですが、ずっとお使い頂けるように移動が出来た方が良いという事で箱組で製作させて頂いています。観音開戸にはガラスではなく木曽桧の板戸にし、家紋を格子欄間に取付けました。(写真2)
板戸ですので格子欄間が抜けているとそこだけ目立ってしまいますので裏から木曽桧の板を取付けて全体に素木の雰囲気が落ち着きました。宮忠には彫刻職人もいますので様々なご要望に迅速に対応できます。
宮台には過去帳や祝詞、神具などを入れることが出来る引出が付きます。奥行がありますので使い勝手の良いように引出の奥行はとり過ぎず、とらなさ過ぎず必要な奥行で製作します。(写真3)
宮台の中には棚板を設け細かいものは引出と棚の上に、他に八足案など大きなものも入るように考えて製作していきます。(写真4)
宮忠で製作している規格神棚をはじめ製作に取り掛かる前には製作会議をしています。改良する点はないか、より良い製品をご提供できるように様々な立場の職人が知恵を出し合うのです。
お客様から頂いた要望も取り入れさせていただき、他にはないオリジナルの宮忠製御霊舎を完成させていきます。
今回は施主であるご主人に製作過程を見せてあげて欲しいというお話から、伊勢は少し遠方になることもあり、製作の過程を折々メールで写真をお送りして見ていただいています。(写真5)
そろそろ完成が近づいて来ました。納入はいつも緊張します。納まった時のお客様の喜んで頂く姿を見て、職人はまた一つ成長していくのだなぁ。といつも感じさせていただきます。