2009年6月13日(土) 『夏越の祓い』
毎年、もう何年になりますでしょうか・・・名古屋在住のお客様から6月30日に執り行われる『夏越の祓い』(大祓いとも言われます)に使われる『茅の輪』をご注文いただきます。
写真がいつも納めさせていただきます茅の輪です。(写真1 写真2)
この時期のススキは青々としていて本当に綺麗です。(写真3)この瑞々しさを失わないように前日の29日か29日のお天気が悪そうであれば28日に伊勢で作った茅の輪を名古屋まで行って据えてきます。毎年ご注文いただきますので、この茅の輪作りも宮忠の年中行事の一つになっています。私が最初に作り始めて、2代・3代と若い職人に引き継がれ、今年は茅の輪作り4代目として私の長男が習っていくことになりそうです。
『茅の輪』、文字通り茅(カヤ)の輪ですから日が近づきますとめぼしを付けた所へススキを刈り取りに行くのですが、蒸し暑い中でススキの生い茂る野山での刈り取り作業は大変なことです。青くぴんとしたススキの葉はしっかりと握れば大丈夫なんですが、滑らせたりするとスパッと手を切ってしまいます。でもいくら気をつけて扱ったり長袖長ズボンに長靴と軍手姿で挑んでもあちらこちらに切り傷が出来たり草に負けてかぶれたりします。
切り取ってきた茅を綺麗な葉だけに選別して直径2mを超える輪に作り上げていく途中にも擦り傷が絶えません。このあたりが早い代替わりの主要因であることを先輩達はよく知っているのですけれど(笑)。
この『夏越の祓い』(大祓い)にはくぐり方があります。各地方や神社様によって違いがあるとは思いますが、神官様を先頭に8の字を描くように進みます。先ず茅の輪をくぐって左回りで元に戻りつづけて茅の輪をくぐって今度は右回りに元に戻りもう一度、茅の輪をくぐり前に進みます。このときに神官様が和歌を唱えながらくぐり抜けていきます。
1回目に・・・「水無月の 夏越の祓え する人は 千歳の命 延ぶといふなり」
2回目に・・・「千早振る 神の御前に 祓ひせば 祈れることの 叶はぬはなし」
3回目に・・・「今日くれば 麻の立ち枝にゆふかれて 夏水無月の 祓ひをぞする」
『夏越の祓い』とは、今日までに身についた様々な不浄、穢れを祓い清めて心身健康に無病息災を願って執り行われる古くから伝わる神事です。
大変な茅の輪作りですが、据付が終わり夏越の祓いの準備が整い、お喜びくださいますお客様の笑顔を見せていただきましたときに、今までの苦労が喜びに変わります。この喜びが茅の輪作り4代目に伝わればと思います。
宮忠では、いつも身に付けて無病息災を護っていただく『茅の輪』も製作販売しております。下記アドレスにご紹介させていただいてますので是非ご覧下さいませ。
茅の輪(リンク:「茅の輪」の商品ページを開きます)