2007年10月1日(月) 伊勢神宮 観月会
私も観月会に行くのは久しぶりで、会場は宮忠本店のすぐ前、歩いて2~3分のところですので、いつでも行けるとの気持ちが何年かご無沙汰をしてしまいました。
今年の観月会は9月25日(火)17時30分から外宮勾玉池の中にある奉納舞台において行われ、当日は良く晴れわたり観月会には絶好の日和をいただきました。
舞台には名月に向かって祭壇が設けられ、そこには秋の七草が活けられ、神饌物が供えられていました。(写真1)
始まりは全国から応募された短歌と俳句についての総評があり、その後本年の特選と入選作の披講がありました。
先に短歌の特選一首と入選五首の披講です。披講は、白い浄衣をつけた歌人(神宮楽師)
七人がそれぞれ左右に分かれて着座(写真2)。月に向かって右方の上手の第一座は古例にしたがい歌聖(うたのひじり)である柿本人麻呂の座として空けられています。
この式の主役である読師(どくじ)一人と他に講師(こうじ)一人、発声(はっせい)一人(昔から、その道の達人がつとめる大切な所役)、講頌(こうしょう)四人の所役にわかれ、講師はなだらかな調子で和歌を読み上げ、次に発声が節をつけて第一句を詠いはじめ、第二句から講頌がこれに唱和します。(写真3)
そしてこれら六首と選者詠一首を詠みおわると読師がこれらの和歌が書かれた懐紙をとりまとめ、名月にお供えします。
次に俳句も同じく7句が詠まれて披講が終わりました。(写真4)
私はこの俳句の披講中に家内と二人で先に伊勢市観光協会から無料で配られた券を持って舞台に近い神域で行われた野点にてお茶をいただいてきました。皆で月を愛でながらのお茶も良いものですね。(写真5)
舞台では披講に続き楽師による管弦が奉納されました。16人の楽師が揃いの衣装に身を包み月に向かって座し、今年は管弦「酒胡子(しゅこうし)」壱越調(いちこつちょう)が奏でられました。(写真6・7)このころから観客も増えだしました。やはり皆の思いは同じで、最後に奉納される舞楽を楽しみにしているようです。
今年の舞楽は「抜頭(ばとう)」が奉納されました。鮮やかな朱の衣装に赤い面を着け、動きの早い舞でしたが、ひとつひとつの足の運びには力強さを感じ見入ってしまいました。(写真8・9・10)
暗闇の中に浮かぶ朱色の欄干に囲まれた舞台、何故か懐かしい感じのする奏楽、今年は中秋の名月でも暦の関係で十五夜でなく十三夜だったそうですが、やっと秋を思わせる空に凛と輝く名月を見ながら風雅なひとときを過すことができました。
この観月会は毎年行われますので皆様にも是非お越しいただきたいと思います。
短歌 特選 鹿児島県 内倉就昭
御手洗に身を清むれば秋の月川面に映えていよよ澄みゆく
俳句 特選 石川県 綿谷たま子
月の夜に母帰り来るやも知れず