2024年2月8日(木) 『丸柱棚板の蟻溝(ありみぞ)加工(寄せ蟻)』
蟻溝とは日本の伝統的な木造建築における継手(つぎて)・仕口(しくち・しぐち)の一つです。
名前の由来は、その形状が蟻の巣のように複雑であることや、顔や牙に似ているといったことから来ているとされています。
丸柱棚板に施した蟻溝の広い部分に蟻枘(ありほぞ)を入れて、内側にずらして蟻穴に効くようにした細工をしてあることから寄せ蟻といいます。
また外から見えない様に二つの材を繋ぐことができるので落し蟻ともいいます。
棚板に柱が立つ位置に墨入れし、鑿(のみ)と金槌を使用し穴を掘っていきます。
棚板の外側から内に向って柱を挿入するので、外側に四角の穴をあけて内側を蟻穴加工します。
この時に外側の四角い穴が広すぎると蟻枘を入れた時、蟻穴と蟻枘が組みにくくなりますので緩くもなく、また硬すぎることもないように調整しています。
蟻穴が加工できたら柱の蟻枘を鳩尾状に加工します。棚板に施した蟻穴と完全に合うように、鑿を使って微調整しながら合わせていきます。蟻穴と蟻枘が完全に合って完成です。
蟻穴と蟻枘が嚙み合うことによって棚板と柱がしっかり結合し強度を保ちます。
蟻穴と蟻枘を加工する際には、蟻穴と蟻枘に隙間があるとしっかりと噛み合わず、柱がぐらつく原因になります。
また蟻溝の角度も鈍いと蟻枘が蟻溝から抜けてしまいます。そういった事のないように、繊細に鑿を入れて蟻穴と蟻枘がしっかり噛み合うように、丁寧な作業が不可欠です。
蟻溝が完成したら、最後に柱を丸柱に加工して丸柱棚板の完成となります。
お客様が棚板を安心して設置いただけるよう、拘りをもったしっかりとした仕事をおこなっています。