2023年10月12日(木) 『社殿御扉への端喰(はしばみ)加工』
端喰は神社や寺院の御扉など、板材の端に繊維方向と直行する側に板をはめ込むことで端部が固定され、反りを抑えたり木口を隠すための化粧材です。
端喰の歴史は古く、平安時代や鎌倉時代の書物にも記載がある事から、平安末期から鎌倉時代には端喰が使われていたことが分かります。
江戸時代には大工技術の発達により端喰の種類や形状が豊富になりました。
加工について、まず扉の上下に端喰の形に墨を入れ、鑿(のみ)と玄翁(げんのう)で端喰の厚みまで荒彫ります。
次に扉の端喰の墨に鑿を入れていきます。鑿をしっかり切らせ、端喰をはめた時に扉板と端喰が隙間なく納まる様に、慎重に鑿をいれていきます。
端喰と扉の間に隙間などがあると見た目の美しさが損なわれ、またそこから割れや反りにつながりかねないため、しっかり隙間なく接合できるように丁寧な仕事が求められる加工です。
伊勢宮忠は大きな御扉が必要とされる社殿にはこの技法を用いています。