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初めての神棚まつり

神棚の「ていねい」で、正しい祀り方は?
お手入れやお参りの方法、
お供え物も解説します。

神棚を「ていねい」に祀る

神棚を自宅や事務所で、どのように祀ったらいいのだろうか。
神さまに失礼のないようにするにはどうすればよいのか。
それぞれの暮らしのなかで、それぞれの形や方法でお祀りするのがよろしいかと思います。
けれど、神社から授かったお神札(おふだ)を自らお祀りするのは、なかなか難しいと感じる方も少なくないでしょう。

伊勢神宮のお膝元である三重県伊勢市で神棚・神具をお造りしている、伊勢 宮忠では、
神と自然を敬う心、伝統の技と質を受け継いできました。
神棚を造り続けて80年あまり。 造り手として、神の小さなお社である神棚は、 「ていねい」にお祀りしてほしいと願っています。

「ていねい」にお祀りすることとはどのようなことでしょうか。
あなたの暮らしの中や仕事場で、伊勢 宮忠が考える「ていねい」なお祀りの仕方を お伝えできればと思っています。

そこで、この記事では、神棚の祀り方やお参りの仕方、お手入れの方法や神棚を選ぶ際のポイントまで、 文章と写真でわかりやすくまとめました。
たとえば「私にはどんな神棚が合っているのか?」
「神棚を購入するにはどんな日取りを選べばいいのだろう?」など、
個別のケースで何かご不明な点があれば、私たち宮忠にぜひご相談ください。

「神棚」を祀るのは何のため?
神棚についての基礎知識

まずは「そもそも神棚は何のために祀るものなのか?」という点から、わかりやすくご説明いたします。

神棚は「神と心をつなぐ」小さな神社

神棚を祀るのは、日々の暮らしのなかで神様にお参りするためです。
毎日、神社に通ってお参りできればよいですが、時間や場所の制約上、なかなか現実的ではありません。
そこで、自宅や事務所でもお参りができるよう、神棚を祀るということなのです。

神棚には、神社から授与されたお神札を祀ります。
お神札は、神職により神の御魂が寄るように祈りが捧げられたもの、そのため神様が宿る「依代(よりしろ)」と考えられます。
そして、神の御魂が宿ったお神札は、災厄除けの「お祓いをする道具」とも考えられ、 お祀りしている家や会社の空間を祓い清めるはたらきがあるといわれています。
つまり、お神札は、神様の「御しるし」であるのです。

そのため、神棚は、あなたの自宅や事務所に神様をお招きするための 「神の小さなお社(神社)」と言い換えることができます。
私たち宮忠では、神棚を「神と心をつなぐもの」と表現しています。

家庭のお祀り

自宅にある神棚に日々、手を合わせると、毎日を生きていること、暮らしていることに感謝する気持ちがわいてきます。 神棚は、神様と皆様をつなぐ小さな「神のお社」です。
そっと手を合わせる時間は、心がすっと静まっていきます。
「今日もありがとうございます」 日々のお参りは、そんな謙虚な気持ちも私たちに授けて下さるのです。

オフィスのお祀り

日本の神話では、天照大御神は高天原の世界で「機織り」や「稲作」に従事し、日本の神々は働くことが喜びであり、 尊いとされていたことが伺いしれます。広く知られる「天の岩戸神話」でも、 岩戸に隠れた天照大御神を八百万の神々が協力して解決に至りました。 会社に置き換えると、社員がチーム一丸となって問題に取り組む姿勢につながっているのではないでしょうか。

天の岩戸神話

〈 協力・調和 〉

日本神話の中でも広く知られるのが、「天の岩戸神話」です。 須佐之男命が乱暴を働いたことで、天照大御神が怒り、岩戸へ身を隠したため、 世の中は暗闇に覆われ、秩序が乱れてしまいます。 そこで神々が協力して、神楽を執り行ったところ、再び天照大御神がお姿を現し、 世の中に秩序と調和がもたらされたという神話です。 その際、発案する神、舞を踊る神、祝詞を奏上する神、天照大御神を引き出す力持ちの神など、 それぞれの神の力が結集されたのです。

神棚に祀る「神様」とは

では、神棚にはどのような神様を祀るのでしょうか。
日本には「八百万の神(やおよろずのかみ)」というように、 自然界に存在するあらゆるものを信仰の対象として崇める考え方が伝わります。
たとえば石や木、山なども、神様が宿るとお祀りしてきました。
このように私たちの身の回りには、じつに多くの神様がいらっしゃいます。
そして、その神々の最高神が、伊勢神宮で祀られている「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」です。
神棚には、八百万の神の中で最も尊い存在として、まず天照大御神を祀るのです。

また、神棚には、天照大御神の他にも、身近な氏神様(うじがみさま)や、とくに崇めている神様も一緒に祀ります。
後ほど「神棚の正しい祀り方」で詳しくご説明します。

神棚を購入するのは
「人生の節目」「大きな出来事があったとき」

神棚を購入するときは、次のような場面が多いです。

  • 結婚したときや、子どもが生まれたとき
  • 会社を設立したときや、既存の事業を引き継いだとき
  • 神様に感謝したいような、よい出来事があったとき
  • 神様に助けていただきたいような、悪い出来事があったとき
  • 引越ししたときや、新築で家を建てたとき

とくに新築や引っ越しのときには、荷物を運び込んだり、家具などを配置したりするよりも先に神棚を祀ることで、 まっさらな状態の家に神様をお招きすることができます。
ぜひ、神棚の設置に最適な日取りを選び、気持ちよく新生活をお迎えください。
宮忠では、常務取締役他数名が神職に就いておりますので、神棚づくりだけでなく、 神様を祀るということ自体に真摯に向き合っています。
神棚設置に最適な日取りなど、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

神棚の「ていねい」で正しい祀り方は?
神具・お供え物についても解説

それでは、神棚の「ていねい」で正しい祀り方をお伝えします。
お神札と神具、お供え物の種類や配置方法についてもくわしく解説いたします。

神棚を祀るのに適した場所

神様を祀るのに適している場所は、次の6つを満たしているところがよろしいでしょう。

  • 明るくて清潔な場所
  • お参りしやすい場所
  • 目線より高い位置に設置できる場所
  • 落ちないよう安全に設置できる場所
  • 家族が寄り集う場所
  • 毎日お供えがしやすい場所

いずれも、神様に対して失礼がなく、心地よくお過ごしいただきたいという考えからです。 できるだけ日当たりがよく、清潔感のある部屋、高い位置を選ぶようにしましょう。
神棚の具体的な方角については、このあと解説いたします。

また、日々のお参りやお供え物の上げ下げ(交換)がしやすく、お掃除など、清潔に保ちやすい場所に設置することも大切です。

ところで、なぜ目線より高い位置に神棚をお祀りするのか、気になる方もいらっしゃるかもしれません。
それは、神様に私たちを上から見守っていただくためです。

ただ、戸建ての1階にお祀りしたい場合や、マンションの下階層などに住んでいる場合は、 上層階にいる人よりも低い位置に神様をお招きすることになってしまいます。
そこで、上層階に人がいる場合には、神棚の上部に「雲」を設置するとよろしいでしょう。

「雲」とは、紙に “雲” という文字を記したものです。 「雲」は「神棚より上には、空以外に何もありません」という神様への敬う気持ちを表したものです。
紙に書いて貼る以外にも、雲板のついた神棚板や、木をくり抜いてつくった「雲」の 文字を使うことがあります。

続いて、神棚を祀るのに適さない場所をお伝えいたします。

神棚を祀るのに適さない場所

神棚の設置に適さないのは、次のような場所が考えられます。

  • 湿気の多い場所
  • トイレと隣り合わせや背中合わせになるような場所
  • 仏壇との位置で、向かい合わせや上下になる場所
  • 人が神棚の下を通る場所

また、必ずしもこの通りでなければいけないことはありません。
お祀りすることが大切な事ですから、家の間取りや家庭の事情に合わせてお祀りして下さい。

とくに天然木でつくられた神棚は湿気が苦手です。湿気によって変形することがあるため、水回りなどに設置するのは避けてください。

神様に落ち着いてお参りできるように、騒がしい場所や人の出入りが頻繁な玄関も避けた方がよろしいでしょう。

また、仏壇を置いている場合、仏壇と向かい合わせになる場所に設置しないように配慮することも必要です。

向かい合わせの位置ですと、仏壇もしくは神棚に拝礼する際、どちらか一方にお尻を向けることになり、失礼にあたるからです。

一方、神棚のある部屋の真上に仏壇を設置するなど、神棚と仏壇が上下に位置するのは避けるとよろしいでしょう。

神棚を祀る方角

神棚は、東向きもしくは南向きに祀ります。
つまり、東向きなら西側の壁に、南向きなら北側の壁に設置します。

それでは、なぜ祀る方角が決まっているのでしょうか。
日本人は、米作りをはじめ万物(あらゆるもの)を育む「太陽」を古くから崇めてきました。
太陽が昇る東は「活力」や「成長」を、太陽が最高点に達する南は「充実」や「繁栄」を象徴する方角とされています。
そのため、神棚を向ける理想的な方角は「南向きまたは東向き」とされているのです。
ただし家の構造上「南向きまたは東向き」に祀るのが難しい場合は、方角にこだわらなくてもかまいません。
大切なのは、神様への敬意をもってお祀りすることです。

神社はなぜ南向き?

〈 天子南面 〉

神社も南向きが多い。 それは「天子南面(てんしなんめん)」といって、 古代の中国では天子(天帝)は北極星のある北を背に南に向いて立たれ、部下と対面しました。 そうしたことからも、尊い神も南向きにお祀りすることが多いのです。 しかし、神社の地理的条件や創建の由来などから、異なることもあります。

神棚の正しい設置場所はおわかりいただけたでしょうか。
続いては、神棚におさめるお神札や神具について、順番に解説します。

お神札のおさめ方

神棚のお宮(おみや)の中には、お神札(おふだ)をおさめます。
このお神札は、神様の御霊(みたま)が宿っているとされている非常に大切なもの。 神様の分身をいただいていると考えましょう。
そのため、神棚を祀るうえで、お神札の大きさに合わせて、神棚の大きさを考える必要があります。 伊勢宮忠の神棚は、伊勢神宮の角祓がおさめられるように作っています。

お神札の種類
〈天照皇大神宮のお神札、氏神神社のお神札、崇敬神社のお神札〉

お神札は、どの神様の御霊を宿しているか、又、自分との関係性によって、以下の3種類に分けられます。

  • 天照皇大神宮のお神札(神宮大麻)
  • 氏神神社のお神札
  • 崇敬神社のお神札

ここからは、それぞれのお神札について簡単に説明します。
まず、複数のお神札を同じ神棚におさめても、神様同士がケンカをしたり神様に対して失礼になりませんので、ご安心ください。
ただし、神様には位がありますので、お神札をおさめる順番は守るようにしましょう。

天照皇大神宮のお神札
〈神宮大麻〉

皇大神宮とは、伊勢神宮の内宮(ないくう)のことです。
名称からもわかるとおり、天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀っており、 別格の存在として崇められているお宮です。
天照大御神は、皇室のご先祖につながる神様で、「皇祖神(こうそしん)」といいます。 そのご神徳はあまねく天地を照らす太陽にもたとえられ、崇められています。
また、天照皇大神宮のお神札のことを「神宮大麻(じんぐうたいま/じんぐうおおぬさ)と呼びます。

  • 氏神神社のお神札

    氏神神社は、「氏神さま」と呼ばれ、日本全国の各地域にそれぞれお祀りされている神社です。
    氏神様とは、その土地に暮らす人々とその地域を守ってくださる神様のこと。
    地域の守り神で、私たちにとって身近な神様でいらっしゃいます。
    どの神社が氏神様かわからない場合は、都道府県の神社庁に訊ねると良いでしょう。

  • 崇敬神社のお神札

    崇敬神社とは、個人の特別な信仰などにより崇められる神社のことです。
    氏神様が祀られている神社以外でも、ご自身やご家庭などでとくにお祀りしたい神社がある場合には、その神社のお神札を神棚に祀ります

神棚の造りの違いによるお神札のおさめ方
〈一社宮・三社宮〉

神棚は、扉の数によって「一社宮(いっしゃみや)」「三社宮(さんしゃみや)」に分類でき、 お神札のおさめ方も異なります。
お神札のおさめ方をそれぞれご説明いたしましょう。

一社宮へのお神札のおさめ方

一社宮の神棚で複数のお神札を祀る場合は、 天照皇大神宮のお神札(神宮大麻)を先頭に、氏神神社のお神札、崇敬神社のお神札の順に重ねておさめます。

神社のなかでもっとも位が高いのは伊勢神宮のため、天照皇大神宮のお神札を先頭にしてお祀りするのです。

三社宮へのお神札のおさめ方

三社宮の神棚の場合は、位の高い順に中央、向かって右、向かって左に祀ります。
よって、中央に天照皇大神宮のお神札(神宮大麻)、向かって右に氏神神社のお神札、 向かって左に崇敬神社のお神札を祀りましょう。

天照皇大神宮と豊受大神宮のお神札のおさめ方

天照大御神を祀る皇大神宮(内宮)と豊受大御神を祀る豊受大神宮(外宮)は両宮と言いあらわされます。 そのため、内宮と外宮にお参りすることを両宮参りといいます。
両宮のお神札がある場合は、天照皇大神宮を一番手前に、豊受大神宮はその後ろにして重ねます。
並べる場合は、向って右に天照皇大神宮を、その左に豊受大神宮のお神札をおさめましょう。

大切にしたいこと

〈 御扉 / みとびら 〉

伊勢神宮では大きなお祭りが執り行われる時以外は、御扉は閉まったままです。
神棚も、神さまの依代であるお神札は一日中あらわに出すことをせずに、 できれば御扉のついた神棚におまつりされるとよろしいでしょう。
伊勢 宮忠本店前にある「せんぐう館」には、外宮のご正殿の御扉が展示されています。
御扉を開けるときは、ギィーという音がなります。その音を聞くと、お祭りが執り行われる夜間でも開扉されたことが神職にわかるようになっています。

お神札を取り替えるタイミングと古いお神札の取り扱い

お神札は一年に一度、年末に取り替えます。
新しいお神札をお祀りした状態で、新年を迎えるのです。

日本では古来より「元日の早朝にくむ水(若水)には特別な霊力がある」と信じるなど、 新しくて清浄なものを尊び、そこに宿る生命力に畏敬の念を抱いてきました。
年末にお神札を取り替えるのは、新年のスタートに新しい力をより一層いただく心の準備にもなります。

なお12月29日は「二重苦(29の語呂合わせ)」、31日は「一夜飾り(元日まで日がない)」と呼び、 年末ギリギリになって新年の準備をすることを避ける習慣があります。
余裕をもって新年の準備を行ないたいものです。ただ、お仕事の都合などで難しい場合もあることでしょう。
その際は、神様への敬意を持ち、自宅や事務所の大掃除のタイミングを図りながら、お神札を取り替えてください。
そして、取り替えた古いお神札は、神社でお焚き上げをしてもらいましょう。

神棚にお供えする物 〈神饌〉

神棚にお供えする神饌は「お米」「お神酒(おみき)」「お塩」「お水」の4種類です。それぞれ以下の神具におさめてお供えします。

  • お米

    天上界で天照大御神が育てていた稲穂が、
    地上界に伝わって稲作になったと神話に記されています。

  • お神酒

    「お神酒あがらぬ神はなし」といわれるように、
    お米から醸造されるお酒は、
    古来より神に供えられてきました。

  • お塩

    四方を海に囲まれた日本では、
    もっぱら海水から塩を採ってきました。
    清浄なものとして、お祓いにも用いられます。

  • お水

    私たち人間にも、稲作にも欠かせない水。水は生命を育む重要なものです。
    毎朝新しくしてお供えしたいものです。

神饌の並べ方

神様にお供えものを召し上がっていただけるよう、お供えしたら、瓶子と水玉の蓋は必ず外しておきましょう。
また、お供え物は、三方(さんぼう / さんぽう)や長膳(ながぜん)と呼ばれる台に載せて神前にお供えするのが基本です。
三方の形状によってお供え物の配置方法が変わりますので、確認してください。

  • 正方形の三方に載せる場合

    三方の中央にお米を載せ、お米の後ろ側にお神酒をお供えします。 そして手前の列の右手にお塩、左手にお水をお供えしてください。 果物やお菓子をお供えする場合は、別に三方を用意し隣へお供えしましよう。(例・1)

  • 長方形の長膳に載せる場合

    神棚の真正面が上位となるので、中央手前にお米をお供えします。
    お米の両側には御神酒、そしてお米の右にお塩、左にお水をお供えしてください。 果物やお菓子をお供えする場合は、別に三方や長膳を用意し隣へお供えしましよう。(例・2)

神さまの御膳なので、
継ぎ目は手前に向けます。
お神酒お水のふたはとってお供えします。

上記は参考例です。お住まいの地域、ご家庭でのお祀りの方法があれば、そちらを参考にされるとよいでしょう。

お供え物を取り替える頻度

「お米」「お神酒」「お塩」「お水」は、基本的に毎日取り替えましょう。
朝にお供えして、夕方頃に下げるイメージです。
下げたお供え物は「お下がり」として家族でありがたくいただきましょう。

「榊(さかき)」は毎月1日と15日に取り替えるのが一般的です。夏などは枯れてしまう前に、新しいものと取り替えてください。

「お米」「お神酒」「お塩」「お水」を毎日新しくすることが難しい場合には、ライフスタイルに合わせてムリのないペース(月2回など)でもかまいません。
月2回の場合には「榊」と一緒に、毎月1日と15日にお供えするとよいでしょう。
お正月や神社のお祭りなど特別なときには、御神酒以外のお餅や初物(海、山の幸)などもお供えするとよいですね。
ここでいうお祭りは、秋に収穫を感謝する「新嘗祭(にいなめさい)」や例大祭などです。
また、お土産などのいただき物も一度神棚にお供えしてから、家族で頂戴したいものです。

大切にしたいこと

〈 神 饌 〉

神さまへお供えする食を「神饌(しんせん)」や「御饌(みけ)」といいます。
お食事ですから、直接棚に置くのではなく、三方、折敷などの台の上に載せて、ていねいにお供えしてください。
お米は神様が授けて下さった尊いものです。 そのため、伊勢神宮では毎年10月、神様に今年も多くのお米が収穫できたことを感謝する「神嘗祭(かんなめさい)が執り行われています。

神棚にお飾りする物 〈神具〉

  • 神鏡しんきょう

    神社では御霊代(みたましろ)として祀る鏡。神棚でもお神札の前に置きます。
    「三種の神器」の一つである八咫鏡は、
    伊勢神宮の内宮にお祀りされています。
    神棚にお参りすることは神鏡の前に立つことであり、自らを見つめることにもなるのです。

  • さかき

    常緑樹の榊は冬でも枯れることがなく、
    常に青々とした葉が生い茂るため、
    古来よりこの木に寄せる特別な信仰がありました。
    ご神前に供えたり、お祓いに用いられたりしています。榊が手に入らない地域は、
    同じツバキ科のヒサカキなどで代用します。

  • 灯籠とうろう

    清らかなあかりを灯し、神前を照らします。
    神社にも石灯籠などがありますが、
    単なる照明のためでなく、神のご加護をより願い、祈願者から奉献されたものもあります。

  • 真榊まさかき

    榊の枝に「青・赤・黄・白・紫」の五色布をつけたものです。
    五色は古代中国で成立した陰陽五行説に基づき、
    方角や季節、時間など、さまざまなものを表わします。
    神前の供物(玉串)として用いられるほか、境界を表わします。

  • しめ縄・紙垂しで

    しめ縄はそこが神聖な場所であることを示します。
    地域によってさまざまな形のしめ縄が伝わります。
    またしめ縄に付ける白紙を
    紙垂(しで)と呼びます。

  • 灯明とうみょう・ローソク立て

    神様に供える灯火を、
    「灯明」または「みあかし」といいます。
    油またはろうそくを用います。
    「灯明をあげる」といい表わします。
    ローソクを供える時は、お参りする時に火をつけて、お参りが終わったら消すようにしましょう。

  • 玉垣たまがき

    榊立てを入れておきます。
    神社の周囲に設ける垣を玉垣、
    瑞垣(みずがき)といいます。
    伊勢神宮では四重に巡らし、正殿に近い方から瑞垣、内玉垣、外玉垣、板垣と呼びます。
    白木のままが一般的です。

  • 金幣きんぺい

    金色の幣(へい)のことをいいます。
    幣は神に祈るときに神前に供えるもので、古くは木綿(ゆう)を、
    のちに布や紙を用いるようになりました。

  • 鳥居とりい

    神社の入口に神域であることを示すために建てられる門。
    左右2本の柱の上に笠木をわたし、
    その下に柱を連結する貫(ぬき)を入れたもの。
    神社によって、形態が変わりますが、
    伊勢神宮にならい神明(しんめい)鳥居を宮忠は製造します。

  • 狛犬

    邪気を払うとして神社の入口や社殿の前に据え置きます。
    「阿」の形に口を開けた獅子と
    「吽」の形に口を閉じた狛犬が一対になっていることが多く
    神社によっては狛犬ではなく、狐や牛などの場合もあります。

  • 神前幕しんぜんまく

    神前に垂らす布製の幕のことをいいます。
    神様を直接見ることは
    恐れ多いということから使われます。

  • 御簾みす

    神前に用いるすだれのことをいいます。
    細く削った竹で編み、綾・緞子(どんす)などで縁をとっています。
    神様を直接見ることをはばかるために使われます。

  • 雲板くもいた

    天界を表わす、雲形の板のことです。
    「神棚の上にはもう何もありません」
    という意味を持ちます。

神具の種類・配置法

神具とは、神棚の周囲にそろえるお供えのための道具のことです。
以下のような種類がありますが、神棚の大きさや置くスペースによっては、すべてを揃えるのは難しいかもしれません。
まずは簡易な神具一式を揃えていただき、順次増やしてはいかがでしょうか。

伝統的な神具一式

伝統にのっとり、丁寧にお祀りしたい場合は、「神饌〈高月・瓶子・皿・水玉〉」「神鏡」 「榊・榊立て・玉垣」「真榊」 「灯明」「灯篭」を配置します。
また、上記の神具に加えて、しめ縄・神前幕・御幣を飾る場合もあります。

一般的な神具一式

一般的な神具一式は「神饌〈高月・瓶子・皿・水玉〉」「神鏡」「榊・榊立て」を以上のように配置します。

簡易な神具一式

簡易にお祀りする場合、最小限揃えておきたい神具は、「神饌〈高月・瓶子・皿・水玉〉」です。

神棚の上手なお手入れ方法は?
道具やコツを紹介

神棚はいつでも清浄にしておきたいもの。
ここでは、神棚の上手なお手入れ方法についてご説明します。
その際には身支度を整えましょう。こざっぱりした服装で、髪が長い場合は一つに束ねるか、スカーフなどで覆いましょう。 また、神棚や神具に傷をつけないように、腕時計やアクセサリーをはずして下さい。
お参りする時と同様に、手をきれいに洗いましょう。マスクを着用するとお掃除もより丁寧です。
正式には、「覆面」といって、麻と和紙で口元を覆い、息が神前にかからないようにする方法もあります。

掃除の道具

神棚をお手入れする際は、以下の道具をご用意するとよいでしょう。

  • 清潔な乾いた布
    神棚や神具を拭く際に使います
  • 白い布 または 半紙
    神棚を一時的に台などの上に置く際に敷きます
  • 毛払い
    ホコリを落とすために使う、はたきのようなものです

お掃除のコツ

まずは毛払いなどでホコリを払います。
その後、熱いお湯で固く絞った布巾で拭きます。 さらに乾いた布巾を使い、拭き上げます。
神棚は湿気に弱いため、ていねいに水気を取ります。
神鏡は、月に一度は中性洗剤を使い、手でやさしく洗ってください。 汚れが落ちてきたら流水で洗剤をきれいに洗い流します。 水滴のふき取りは手ぬぐい、またはガーゼ、マイクロファイバーなどでおさえるように吸い取ってください。
ちなみに、正式なお手入れ方法では、神棚に息がかからないように、マスク、覆面、白い和紙を口にくわえた状態などでお掃除します。

掃除の際に避けたいこと

神棚をお掃除する際に、気をつけてほしい点がいくつかあります。
「神棚は神様がおられるところ」のため、以下の行動には注意してください。
神様を見下ろすことになりますので、神棚を床の上に置くのは避けましょう。
どうしても床に置くしかない場合には、清潔な白い布や半紙を敷き、その上にそっと安置してください。
神様をお祀りする場所を清めるのですから、使い古しの雑巾、床や棚などほかの場所の掃除に使った雑巾の使用は避けましょう。
また、変形やカビの原因になりますので、濡れた雑巾も使わないでください。

神棚に息を吹きかける行為も避けてください。
神棚は凹凸がたくさんあるため、手が届きにくい場所にもホコリが積もってしまいます。
つい息を吹きかけてホコリを散らしたくなりますが、これもやめましょう。
息は人間の穢れ(けがれ)が含まれるとされていますので、神棚には息がかからないように、マスク等を着用するのがていねいでよいでしょう。

お掃除の頻度

神棚はお掃除する頻度は、とくに決まっていません。
ただし、神様が居心地よく過ごせるよう、普段から清潔な状態に保ちましょう。
とくに年末は、念入りにお掃除をしましょう。
入り組んだ部分など、普段なかなか掃除しづらい箇所も含めてすみずみまで清潔にすることで、 神様に気持ちよく新年を迎えていただけるはずです。

古くなったお神札やしめ縄の扱い

お神札やしめ縄を新しいものに交換した場合、古くなったものは白い紙に包んで、 神社へのお焚き上げに持っていきましょう。
お掃除に使った布などは、通常のものと同じように処分して下さい。

神棚の買い換え時期

神棚を買い換えるのは、神棚を初めて購入するときと同様、人生の節目や大きな出来事があった時が多いようです。

  • 結婚したときや、子どもが生まれたとき
  • 会社を設立したときや、既存の事業を引き継いだとき
  • 神様に感謝したいような、よい出来事があったとき
  • 神様に助けていただきたいような、悪い出来事があったとき
  • 引越ししたときや新築で家を建てたとき

また、長年お祀りしていると、痛んだり汚れたりしている場所も出てくるでしょう。
購入から10年、長くても20年ほど経った神棚は、買い替えの検討をなさってはいかがでしょう。
長年お祀りしてきた神棚を処分するのは、とまどうかもしれませんが、適切な手順を踏んで神棚を買い替えることは、神様に気持ちよくお過ごしいただくために大切なことなのです。
伊勢神宮の社殿を20年に一度建て替える「神宮式年遷宮」も、「神様のいらっしゃる場所は常に清浄に」という考え方が根底にあるとされています。
この常に瑞々しさを保つ考え方を「常若」と言います。
この考え方にならい、神棚を定期的に新しくし、気持ちよく神様をお迎えしてはいかがでしょうか。
もし神棚を買い替える時期に迷われたら、お近くの神社の神主さんに相談するのもよいでしょう。
常務取締役が神職に就いている宮忠にも、どうぞお気軽にご相談ください。

神宮式年遷宮

伊勢神宮では、およそ1300年前から20年に一度社殿を建て変える「神宮式年遷宮」が行われています。 20年ごとに社殿を新しくするのはなぜか、その理由は定かではありませんが、 神様に常に若々しくみずみずしい社殿に鎮まっていただきたいという考えが根底にあるといわれています。 伊勢では神宮式年遷宮にならい、氏神神社の修繕を行ったり、老舗の事業所でも看板を塗り替えたりしています。

古くなった神棚の扱い

買い替えのタイミングがわかったところで気になるのは、古い神棚をどうしたらよいのかでしょう。
これまで家族や会社を守ってくださっていた神聖な神棚ですので、処分する際にも「ていねい」に扱いたいものです。
もっともおすすめなのは、神社でお焚き上げをしていただくことです。
事前に連絡したうえで、ご祈祷していただくお礼として「おこころざし」を添えて、近くの神社に預けましょう。
なお「おこころざし」の目安は、神棚の大きさや祈祷の方法などによって異なります。 また神社ごとにそれぞれとなりますので、直接問い合わせてみるとよいでしょう。

また、私たち伊勢 宮忠でも、神棚お引き取りサービスをおこなっています。
日々神棚を扱っている私たちが責任をもって、神社にてお焚き上げさせていただきます。 詳しくは以下のページをご覧ください。

なお木製の神棚と違い、鏡や土器などの神具はお焚き上げができません。
これらはお塩でお清めをしてから、不燃物として自治体のルールに従って処分してください。

正しいお参りの方法は?
忌中の作法も解説

ここからは、神棚にお参りする方法を解説いたします。
忌中の場合は作法が異なるのでご注意ください。

基本のお参りの方法

神棚へのお参りはどのようにすればよいのでしょう。
まず、お参りとは神様に願い事をする行為ではなく、 いつも家族や会社をお守りいただいていることへの感謝の気持ちをお伝えする場だと考えていただくとよろしいでしょう。
一日の始まりである朝や、大切な節目の日などに、とくに心を込めてお礼をお伝えいたしましょう。
きっと神様はあなたを守ってくださるでしょう。

神棚に向き合う前に、手や口を清めて(洗って)から姿勢を正してお参りしましょう。

以下の手順でおこないます。

  • 1 神棚に深いお辞儀を2回

    直立の姿勢から90度に腰を折り、頭を下げます。これを「拝」といい、2回繰り返します(二拝)。

  • 2 拍手を2回

    胸の高さで手のひらを合わせ、右手を少し下にずらして二拍手します。
    拍手の後、胸の高さできちんと手を合わせて祈ります。そして手を下ろします。

  • 3 深いお辞儀を1回

    手を下ろし、最初と同じように90度に腰を折り、頭を下げます(一拝)。

    ※二拝二拍手一拝は明治時代から一般的に広がりました。 しかし、地域によっては、昔ながらの参拝の仕方も伝わっているため、異なるところもあります。

忌中の場合

忌中の場合、神社のお参りを控えたり、新年に張るしめ縄を控えたりしますが、神棚も前に半紙を垂らしてお参りを控えるなど、さまざまな作法・考え方があります。

お住まいの地域によっても作法は異なりますので、不安な場合は地元の氏神様にお尋ねいただくとよいでしょう。

神棚はどう選ぶ?
材料や工法・種類による違い

最後に、神棚の選び方について説明いたします。
実は、私たちにご相談される方の中には「ネット通販を利用して神棚を買ったけれど、 写真で見たときのイメージと実物の雰囲気が違っていた・・・」などの理由で、 購入されたばかりの神棚の買い替えを希望される方もいらっしゃいます。
しかし、神棚を頻繁に買い替えるのは避けたいこと。
購入して「失敗した・・・」と後悔しないために、神棚を選ぶ際にご確認いただきたい点を提案いたします。

神棚を選ぶ際のポイントは、宮忠では「大きさ」「形」「質」と考えます。

  • 「大きさ」について

    • お神札が入る事が必須

      先にお神札の種類でご説明しましたように、お神札によって大きさが異なります。 そのため、まず、お祀りしたいお神札が納まるスペース(内陣といいます)があるお宮をお選びいただくことが大切です。

    • 神棚をお祀りできるお部屋のスペース

      そして、神棚をお祀りするお部屋や場所は、お宮の高さ、幅、奥行きの3点をご確認してから、お選びください。
      また、神棚の大きさに加えて、神具・お供え物を置く奥行きも必要になりますので、 余裕をみていただくとよろしいでしょう。 そうしたお祀りできるスペースのあるお部屋に神棚を置いていただければと思います。

  • 「形」について

    • お扉の数:一社宮、三社宮

      お祀りするお宮の種類には、お扉の数が一つの一社宮、または三つの三社宮がございます。(五社や七社も)

      一社宮(いっしゃみや)

      一枚扉で、基本的にはお神札を1体お祀りする造りになっています。 複数のお神札をお祀りする場合は、位の高い順にお神札を重ねてお祀りします。

    • 三社宮(さんしゃみや)

      三枚扉のお宮造りとなっています。お祀りする神様は、中央に天照大御神、向かって右側に氏神様、 向かって左側にはその他での神社で受けて頂いたお神札をお祀りすることができます。

  • 屋根の種類

    • 茅葺(かやぶき)

      私たち伊勢 宮忠の造る、代表的なお宮です。
      茅で屋根を葺いた茅葺屋根。茅で葺く屋根は材料も手に入りにくく、 またその技術を持つ職人も限られていることから現代では貴重なものとなっています。
      しかし、宮忠では、伊勢神宮の御正殿の建築様式「唯一神明造 (ゆいつしんめいづくり)」 の特徴である茅葺屋根を忠実に模した神棚を作ってきました。 そのため、ありがたいことに「いつかは宮忠の神棚を祀りたい」とおっしゃていただく方も少なくありません。

      伊勢神宮の「唯一神明造」の代表的な特徴、茅葺屋根をもつお宮は、伊勢特有のものです。
      唯一神明造の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

      • 総檜造で、色を施さない「素木造り(しらきづくり)」であること
      • 礎石を敷かず、地面に掘った穴に直に丸柱を立てる「掘立式」であること
      • 高床式であること
      • 萱葺(茅葺)屋根であること
      • 棟木(むなぎ)の両端に、棟持柱(むなもちはしら)があること
      • 屋根がハの字に合わさる「切妻屋根(きりつまやね)」であること
      • 屋根の軒先側に入り口がある「平入(ひらいり)」であること
      • 屋根の笠木の上に横たえ並べた鰹木(かつおぎ)が置かれていること
      • 屋根には、破風(はふ)の先端が伸びて交差した「千木(ちぎ)」がついていること

      なお、茅葺屋根に使用する茅(ススキの葉)は、毎年1月頃、私たち自身の手で伊勢近辺で採集しています。

    • 板葺(いたぶき)

      最も一般的な板葺屋根のお宮です。伊勢神宮でも摂社、末社、所管社は板葺屋根で造られています。

    • 檜皮葺(ひわだぶき)

      檜の皮を薄く剥ぎ、重ね合わせてつくった屋根が特徴的なお宮です。出雲大社など歴史ある神社の多くは、檜皮葺屋根の社殿となっています。

    • 箱組(はこぐみ)

      箱の中に納まったタイプのお宮です。
      お宮の高さが低いため、お部屋のスペースに制限がある場合に適しています。 また、ホコリが入りにくいため、お手入れがしやすいのも特徴です。

  • 「質」について

    神棚は「大きさ」「形」で選ぶのはもちろんですが、加えて「質」にこだわると、後悔しない神棚選びができます。
    ここでは「質」について詳しくお伝えします。
    神棚の質を左右する主な要素は「材料」と「加工」の2つ。
    質の違いは写真ではなかなか判断しづらいため、できれば購入前に、実際に現物をご覧になって、 確認いただくことをおすすめいたします。

    材料

    近年では木材以外でできた神棚(ガラス製など)もありますが、ここでは伝統的な木材、なかでも「檜(ひのき)」についてご紹介していきます。

    この「檜」について、種類や処理の方法などをご説明しますので、神棚選びの参考にしてください。

    天然木曽檜と地檜の違い

    檜の種類

    ・木曽檜
    ( 漢字で木曽檜と表示されるのは、長野県と岐阜県にまたがる木曽谷に天然で育った檜のことで、官材や尾州檜とも呼ばれています。)
    上記の檜は産出量が少なく国有林として国に管理され、希少な木材です。「官材」に位置づけられています。
    天然木曽檜は、木材として使用できるようになるまでに長い年月が必要です。
    その年月(樹齢)は、木が一年ごとに重ねる年輪でわかります。
    また、年輪からは樹木の育ち方もわかるのです。早く育った木は幅の広い年輪が、一方、 ゆっくりとしたスピードで育った木は、ギュッと目の詰まった細かい年輪が現れます。
    この年輪の細かさこそが、神棚に仕上げた際の木目の美しさにつながるのです。

    ・地檜(その他の各地で取れる檜)
    木曽ひのき ( 植林材 ) 、きそひのき ( 植林材 ) 、東濃檜 ( 裏木曽で採れる )、 吉野檜 ( 吉野地方で採れる ) これらは単に檜などと呼ばれ、「民材」に位置づけされます。 上記のような民材の檜を、伊勢 宮忠では地檜(じび)と呼んでいます。

    そして、木曽檜を使って造られた神棚は「木曽檜」と漢字のみで表記します。
    それ以外の檜 ( 地檜や東農檜など ) を使って造られた神棚には「木曽檜」と記すことはできません。
    地檜は比較的手ごろな価格で、手に入りやすいのですが、
    木曽檜は地檜にくらべて、3倍から10倍以上の単価にのぼることもあり、高価で大変貴重な木材となります。

    一般的に価格を抑えた神棚は地檜を使用していることが多く、 見た目や造り方などの品質へのこだわりは少ないようです。 一方、見た目の美しさにこだわり材料の品質や丁寧な仕上げをした高品質な神棚は、 ほとんどの部位に木曽檜を使用しています。

    木曽檜を「宮材」に育てる

    伊勢神宮の社殿と同じ木曽檜。
    伊勢 宮忠が使う樹齢150年から300年にのぼる天然木の木曽檜は、 香りも良く、柾目が細かく、白い木肌はほのかにピンク色掛かった美しさをもちます。
    また、年月を経て日焼けした後の木肌も、落ち着きのある上品な薄茶色になります。
    お宮造りには極上といわれる木曽檜を加工せずに白木のまま使いたい、 宮忠ではそうした作り手のこだわりをもってきました。
    それには、製材した板を屋外で幾度となく風雨に晒し、檜特有のヤニを抜き、 その材の持つ反りや曲がりなどの癖を出させる手間と時間を惜しみません。 そして、十分に雨風に晒した後、用途に合わせ、時にはさらに10数年も倉庫内で自然乾燥させているのです。
    そうした手間暇をかけてこそ、木曽檜が持つ色艶を保ったまま、収縮、反り曲がりなどの変形がでない、 精密な加工ができるお宮造りに最適な「宮材」になるのです。

    仕上げ加工

    職人の技術やこだわりがもっともよく表れるのが、「加工」の仕上がりです。

    適材適所

    ・木の目の使い方
    宮忠では木の目が細かく美しく見える柾目(まさめ)をお宮の正面に使っています。 低価格なお宮の材料には板目(いため)使いの材木が多く使用されています。
    小さめの材木からでも多くの部材を切り出せる板目使いは安価ですが、 柾目使いの材木とはその見た目の美しさが大きく異なります。

    仕上げ鉋(しあげかんな)・木口鉋(こぐちかんな)

    木口(こぐち)とは、木の断面部分のこと。

    紙やすりなどのサンダーの処理では艶はでません。 鉋という木を削る道具を用いた鉋仕上げをしてあるものは美しい艶がでます。
    木口においても鉋仕上げを取り入れているものは「ていねい」な仕事がなされていると判断できます。

    宮忠の神棚がなめらかな質感を持ち、高級感があるのは、木口鉋という独特の道具を熟練の職人が使いこなし、手の込んだ木口の処理をしているからとも言えます。

    面取り

    「面取り」とは、木材の角になる部分を削り、なめらかな形状にする加工のことです。
    角があると材料が痛みやすいのでそれを防ぐために施す処理にあたります。
    こちらも鉋を使い、職人が手作業でおこなっていきます。

    手で触れたときのなめらかな感触は、この処理を施していなければ生まれません。
    職人の世界には「面取りしないような仕事はするな」という言葉があります。
    面取りされているか否かは一見ではわかりづらいですが、仕事に対する職人の姿勢がよく表れる部分でもあります。 しっかりとご覧いただきたいところです。

    ちなみに、この面取り作業や表面仕上作業などで出たカンナ屑を、 宮忠では商品発送時の緩衝材として、有る限り使用しています。
    環境への配慮だけでなく、箱を開けた瞬間に「檜のよい香りがして、素晴らしい」とのお声を多くのお客様からいただいています。

    なかには以下のようにご活用くださる方も。

    • タンスや下駄箱の消臭剤として使う
    • 快眠のために枕に入れる
    • 香りでリフレッシュするために、机の上に置く

    檜のカンナ屑に含まれる「フィトンチッド」という良い香りの成分には、 殺菌効果や精神安定効果が指摘されていますので、さまざまに活用されることをおすすめいたします。

私たち伊勢 宮忠が
この記事を書いた理由

最後に、神棚メーカーである私たち宮忠がこの記事を書いた理由をお話しさせてください。
私たちは、材木倉庫の入り口にしめ縄を張っています。
なぜなら、神棚を造る材料を納める材木倉庫を神聖な場として捉え、日常との間にきちんと境界線を引くためです。
それは、伊勢神宮のお膝元である伊勢で神棚を長らく製作、販売をしてきた私どもの姿勢の表れなのです。
また、材木倉庫だけでなく、神棚製作工場の各所にしめ縄を張っています。
そして毎年、年頭に神具調製始祭を執りおこない、木材、製作現場を祓い清めています。

また、自然の恵みである材木をあますことなく使い切るように、加工の時に出た鉋屑は梱包時の緩衝材として、 木屑はペレットにしてストーブの燃料としてリユースするなど、工夫を重ねております。
神様にも皆様にも喜ばれる、よい神棚にめぐり合ってもらえることを願い、
より「ていねい」にお祀りしたいと思われている方のために、
そして後悔しない神棚の選び方についてご紹介するために、この記事を書きました。
この記事が、神棚の祀り方や神棚の選び方に関する疑問や不安の解消に少しでも役立ち、 自信をもって神様をお迎えできることを、心から願っています。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

神 職
高城神社権禰宜
三重県神道青年会所属
伊勢 宮忠 / 常務取締役

川西 洋介